公務災害とは?補償内容や認定基準について弁護士が解説
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公務災害とは?
公務災害とは、国家公務員や地方公務員が職務遂行中、または職務に関連して病気や怪我を負うことを指します。国家公務員や地方公務員がこのような病気や怪我を負った場合、一般の労働者が労働災害(労災)として補償されるのとは異なり、公務災害として補償されます。
国家公務員と地方公務員とでは、適用される法律が異なり、前者は国家公務員災害補償法、後者は地方公務員災害補償法となります。
例えば、警察官(国家公務員)が公務中にけがをした場合と、市役所の職員(地方公務員)が勤務中に健康被害を受けた場合、適用する法律が異なることになります。
公務災害の補償内容について】
公務災害の補償内容は、治療費、休職期間中の給与、後遺障害に対する補償、死亡した場合の遺族への補償などです。
(1)療養補償
公務員が公務災害により疾病や怪我を負った場合、必要な治療を受けるための費用が補償されます。これには、治療費や薬剤費、入院費、そして通院に要する通院交通費などが含まれます。
(2)休業補償
治療による休業期間中、過去の平均給与の6割分の補償がなされます。これにより、公務員は治療に専念することが可能となります。
(3)傷病補償年金
病気や怪我の治療が長期間にわたる場合、傷病補償年金が支給されます。
(4)障害補償(障害補償年金、障害補償一時金)
公務災害により後遺障害が残った場合、後遺障害の等級に応じて、障害補償年金が支給されます。また、一定の条件下では、障害補償一時金の支給もあります。
(5)介護補償
公務災害により介護が必要になった場合、その介護費用が補償されます。
(6)遺族補償(遺族補償年金、遺族補償一時金)
公務災害により公務員が亡くなった場合、遺族に対して遺族補償年金が支給されます。また、遺族補償一時金の支給もあります。
(7)葬祭補償
公務員が公務災害により亡くなった場合、その葬祭費用が補償されます。
公務災害後、公務員はこれらの補償を受けることにより、その健康の回復と生活を維持することが可能となるため、公務員にとって重要な制度であることは言うまでもありません。
ただし、それぞれの補償を受けるためには、適切な申請手続きが必要となりますので、手続きや申請の方法が分からないという方は、まずは公務災害に詳しい専門家に相談されることをお勧めします。
公務災害の認定基準について
公務災害の認定基準は、公務員が職務遂行中または職務に関連して健康被害を受けたことが明確であること、そしてその被害が一定の程度以上であることが求められます。具体的には、公務員が職務上の事由で負傷、疾病にかかったりした場合が該当します。
公務と健康被害との因果関係が明確とはいえない場合などは、その適用が受けられるかどうか難しい判断が必要となる場合もあります。例えば、教師が生徒とのトラブルに見舞われ精神的な疾病を患ってしまった場合、これが公務災害と認定されるかどうかは、その生徒とのトラブルと疾病との因果関係が立証できるかにかかっています。
公務災害で後遺障害が残った場合の対処法
公務災害で病気や怪我を負い、これが完治せずに後遺障害が残り、その障害によって職務遂行に影響がある場合は、障害補償年金または一時金が支給されます。補償内容は、障害の程度や影響を受けた職務内容により異なります。障害補償年金の支給を受けるためには、主治医に、所定の後遺障害診断書を記載してもらうことが必要となります。
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公務災害での損害賠償請求
以上の公務員災害補償法では、慰謝料の支給を受けることはできません。そこで、公務災害が、国や地方公共団体、もしくは第三者の安全配慮義務違反によって引き起こされたものであれば、これらの責任を問うため、損害賠償請求を行うことが考えられます。
ただし、損害賠償請求を行うためには、国や地方公共団体、第三者の義務違反の内容や被災公務員被った損害の程度を明らかにするなど、高度に専門的な知識が必要となります。損害賠償請求までお考えの方は、公務災害に詳しい専門家に相談されることをお勧めします。
公務災害については弁護士にご相談ください
このように、公務災害については、補償内容の理解や申請手続きにおいて専門的な知識が求められます。また、損害賠償請求まで行う場合には、ほとんどのケースで専門の弁護士の助けが必要となると考えられます。
公務災害でお悩みの方は、適切な補償や賠償を受けるために、一度専門の弁護士にご相談下さい。