足の後遺障害について
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業務または通勤中の事故による怪我、病気によって足(下肢)に後遺障害が残ることがあります。
後遺障害の内容・程度に応じて、障害等級が認定されます。では、どのような足の障害が後遺障害に該当するのでしょうか。
足の後遺障害の種類
足に残る後遺障害については、次の4種類があります。
- 欠損障害:足を切断してしまって元に戻らない状態
- 機能障害:足の本来の機能が戻らない状態
- 変形障害:関節が変形してしまい元に戻らない状態
- 短縮障害:足の長さが短縮してしまって元に戻らない状態
それぞれの内容・程度に応じて、後遺障害の等級の認定がされます。
足の欠損障害
足の欠損障害の後遺障害等級は次の通りです。
等級 | 内容 | 補償の内容 |
---|---|---|
第1級の8 | 両下肢をひざ関節以上で失ったもの | 給付基礎日額の313日分の年金 |
第2級の4 | 両下肢を足関節以上で失ったもの | 給付基礎日額の277日分の年金 |
第4級の5 | 一下肢をひざ関節以上で失ったもの | 給付基礎日額の213日分の年金 |
第4級の7 | 両足をリスフラン関節以上で失ったもの | 給付基礎日額の213日分の年金 |
第5級の3 | 一下肢を足関節以上で失ったもの | 給付基礎日額の184日分の年金 |
第7級の8 | 一足をリスフラン関節以上で失ったもの | 給付基礎日額の131日分の年金 |
いくつか昭和51年8月30日職補―557「障害等級の決定について」による補足を付け加えます。
下肢をひざ関節以上で失ったもの
両下肢の場合には第1級の8に、一下肢の場合には第4級の5に認定される「ひざ関節以上で失ったもの」とは、「障害等級の決定について」によると次の状態をいいます。
- 股関節において、寛骨と大腿骨とを離断したもの
- 股関節とひざ関節との間(大腿部)において、切断したもの
- ひざ関節において、大腿骨と下腿骨とを離断したもの
ひざ関節以上での障害をそのままイメージすれば良いでしょう。
下肢を足関節以上で失ったもの
両下肢の場合には第2級の4に、一下肢の場合には第5級の3に認定される「下肢を足関節以上で失ったもの」とは「障害等級の決定について」によると次の状態をいいます。
- ひざ関節と足関節との間(下腿部)において、切断したもの
- 足関節において、下腿骨と距骨とを離断したもの
イメージとしては足首からひざまでの間での欠損障害といえます。
リスフラン関節以上で失ったもの
- 足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨及び3個の楔状骨からなる。)において、切断したもの
- 中足骨と足根骨とを離断したもの
最もイメージしづらいのですが、おおよそは足の指を失った場合をイメージすれば良いでしょう。
機能障害
足の機能障害の後遺障害等級は次の通りです。
等級 | 内容 | 補償の内容 |
---|---|---|
第1級の9 | 両下肢の用を全廃したもの | 給付基礎日額の313日分の年金 |
第5級の5 | 一下肢の用を全廃したもの | 給付基礎日額の184日分の年金 |
第6級の6 | 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの | 給付基礎日額の156日分の年金 |
第8級の7 | 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの | 給付基礎日額の503日分の一時金 |
第10級の10 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの | 給付基礎日額の302日分の一時金 |
第12級の7 | 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの | 給付基礎日額の156日分の一時金 |
こちらも昭和51年8月30日職補―557「障害等級の決定について」による補足を付け加えます。
下肢の用を全廃したもの
下肢の用を全廃したものとは、3大関節(股関節、ひざ関節及び足関節)の全部が強直(きょうちょく)したものをいいます。
強直とは、関節の骨や軟骨の変形や癒着が原因で関節の可動域が制限される症状のことをいいます。
関節の用を廃したもの
関節の用を廃したものとは、
- 関節が強直したもの
- 関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの
- 人工骨頭又は人工関節を挿入置換し、かつ、当該関節の運動可能領域が健側の運動可能領域の2分の1以上制限されるもの
をいいます。
完全弛緩性麻痺とは、筋肉を支配している末梢神経が機能しなくなることです。
関節の機能に著しい障害を残すもの
関節の機能に著しい障害を残すものとは、
- 関節の運動可能領域が健側の運動可能領域の2分の1以上制限されるもの
- 人工骨頭又は人工関節を挿入置換した関節のうち、「関節の用を廃したもの」のc以外のもの
をいいます。
関節の機能に障害を残すもの
関節の機能に障害を残すものとは、
関節の運動可能領域が健側の運動可能領域の4分の1以上制限されるもの
をいいます。
変形障害
足の変形障害の後遺障害等級は次の通りです。
等級 | 内容 | 補償の内容 |
---|---|---|
第7級の10 | 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの | 給付基礎日額の131日分の年金 |
第8級の9 | 一下肢に偽関節を残すもの | 給付基礎日額の503日分の一時金 |
第12級の8 | 長管骨に変形を残すもの | 給付基礎日額の156日分の一時金 |
こちらも昭和51年8月30日職補―557「障害等級の決定について」による補足を付け加えます。
上肢に偽関節を残し、著しい障害を残すもの
「偽関節」とは、骨折等による骨片間の癒合機転が止まって、異常可動を示すものをいいます(骨がくっつかない・骨がくっついても変なくっつき方をした、などによって通常の可動とは違う動き方をする場合)。
上肢に偽関節を残し、著しい障害を残すものとは、次のいずれかに該当するため、常時硬性補装具(ギプスなど)を必要とするものをいいます。
- 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
- 脛骨及び腓骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
- 脛骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
一下肢に偽関節を残すもの
一下肢に偽関節を残すものとは、
- 大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、上肢に偽関節を残し、著しい障害を残すもののa以外のもの
- 脛骨及び腓骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、上肢に偽関節を残し、著しい障害を残すもののb以外のもの
- 脛骨の骨幹部等に癒合不全を残すもので、上肢に偽関節を残し、著しい障害を残すもののc以外のもの
長管骨に変形を残すもの
長管骨に変形を残すものとは、
- 次のいずれかに該当する場合であって、その変形を外部から想見できる程度(15度以上屈曲して不正癒合したもの)以上のもの
(a)大腿骨に変形を残したもの
(b)脛骨に変形を残したもの - 大腿骨若しくは脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの又は腓骨の骨幹部等に癒合不全を残すもの
- 大腿骨又は脛骨の骨端部のほとんどを欠損したもの
- 大腿骨又は脛骨(骨端部を除く。)の直径が3分の1以上減少したもの
- 大腿骨において、外旋が45度以上又は内旋が30度以上回旋変形癒合したもので、次のいずれにも該当するもの
(a)外旋変形癒合の場合は、股関節の内旋が0度を超えて可動できないこと、内旋変形癒合の場合は、股関節の外旋が15度を超えて可動できないこと
(b)エックス線写真等により、明らかに大腿骨の回旋変形癒合が認められること
なお、長管骨の骨折部が短縮せずに癒着している場合には、たとえその部位に肥厚が生じていても、長管骨の変形したとは認定されません。
短縮障害
足の短縮障害の後遺障害等級は次の通りです。
等級 | 内容 | 補償の内容 |
---|---|---|
第8級の5 | 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの | 給付基礎日額の503日分の一時金 |
第10級の7 | 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの | 給付基礎日額の302日分の一時金 |
第13級の8 | 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの | 給付基礎日額の101日分の一時金 |