労災は使わない方が良い？使った方が良い？弁護士が解説！

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労災は使った方が良い？弁護士が解説！

労災被害に遭われた方に対し、労災保険を使わない方が良い、という意見が述べられることもありますが、それは適切なのでしょうか。この記事では、労災を使用しないことによるメリット、デメリットを検討します。

労働者には労災を申請する権利がありますが、「労災を使うのを会社が嫌がる」「軽い怪我なので労災を使うまでもないのではないか」といった理由で、労働者が労災を申請するかどうか悩まれているケースがよくあります。

確かに、労災の申請は労働者の権利であり、権利を行使するかどうかは労働者の自由といえるため、必ずしも労災扱いにしなければならない訳ではありません。

もっとも、労災保険を使用しないことによるデメリットもありますので、その点を十分に理解しておく必要があります。

まず、治療費をどのように負担するか、という点が大きな問題となります。

労働災害により怪我や疾病を負った場合、健康保険を使って治療費を支払うことができません。したがって、治療費は、全額自己負担で支払わなければなりません。間違って健康保険を使って治療費を支払った場合、後に健康保険組合から返還請求を受ける可能性があるのです。

健康保険を使わずに全額自己負担となれば、かなり高額となりますので、労災保険を使用しないことによる経済的なデメリットは相当に大きいといえます。

労災保険を使えば、治療費以外にも、休業補償として、平均給与の８０％の支給が受けられます。

また、後遺障害が残った場合には、障害補償給付として、障害の等級に応じて、一時金や年金を受け取ることができます。

さらに、要件を満たせば、介護給付や、遺族年金給付などの支給が受けられることもあります。

しかし、労災保険を使わなければ、このような給付は一切受けられません。

逆に、労災保険を使用しないことによるメリットは特段考えられません。

そうすると、労災保険は使った方が良い、ということになります。

確かに、労災保険を使うことを嫌がる会社があるのは事実であり、そのような場合、会社からの評価を下げないため、労災保険を使わない、という選択をされる方もいるようです。

しかし、労災を使用した社員の評価を下げることが不当であるのは明らかであり、いわゆる労災隠しと評価されることもあります。

そもそも、労災を使用するかどうかは労働者が決めることができるのですから、上記のようなデメリットを理解しておくことは非常に重要であり、結論としては、労災保険は使った方が良いといえるでしょう。