建設現場における労災事故について

建設業における労災事故とは?

仕事中に発生した事故によって怪我をした場合、被災した労働者は労災による補償を受けることができます。

また、労災事故が発生したことについて、会社に安全配慮義務違反がある場合、労災では補償されない損害、慰謝料や休業補償、障害補償の不足分について、会社に損害賠償請求を行うことができます。

建設業の労災事故の統計

厚生労働省の統計上、建設現場において発生件数が多い労災事故の類型の1つとして、「墜落・転落」事故が挙げられます。

建設現場の特性上、高所作業が多く、作業中に足を踏み外すなどにより地面等に墜落、転落するというケースが多いものと考えられます。高所からの墜落・転落となれば、骨折や脊髄損傷などの重傷を負うことも多く、打ち所が悪い場合は死亡に至ることもあります。また、怪我の内容によっては、重い後遺障害が残ることもあります。

このような追突・転落事故の被害に遭われた場合、まずは労災申請を行ってください。建設現場における事故であれば、特段の事情がない限り、労災が認定されることになると考えられます。

ただし、会社が労災の申請を行ってくれない場合もありますので、そのような場合は、自分で行うこともできますが、不安な場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。

建設業の労災事故の補償内容について

さて、労災による主な補償内容としては、治療費の補償である療養補償、給与に対する補償である休業補償、後遺障害が残った場合の補償である障害補償給付があります。死亡された場合には、遺族補償として、遺族が年金や葬儀費用を受給することができます。

しかしながら、労災では、本人にも遺族にも、慰謝料は一切支払われません。また、休業補償は、基本的に基礎収入の60%しか補償されず、後遺障害が残った場合の障害補償も金額が十分とはいえません。

では、慰謝料や休業補償や障害補償給付の不足分は、どこにも請求することができないのでしょうか。

この点、労災事故の発生について会社に安全配慮義務違反が認められる場合、会社に対する損害賠償請求を行うことが可能です。

建設現場においては、高所作業時の危険が大きいため、労働安全衛生法及び労働安全衛生規則において、事業主に対し対策を講じるよう求められています。

具体的には、高さ2メートル以上の場所で作業する場合には、足場や安全帯の設置を求めるだけでなく、その安全帯の使用について、会社から作業員に対して、しっかりと教育を行わなければならないと規定されています。

したがって、会社が、このような労働安全衛生法及び同規則に違反する場合、安全配慮義務違反があると認められ、会社に対する損害賠償請求を行うことができます。

また、労働安全衛生法等の法律に具体的な規定がない場合でも、会社が、個別のケースにおいて、労災事故の発生を防止し従業員の生命身体の安全を確保するために配慮すべき義務を尽くしていないと判断される場合は、会社に対する損害賠償請求を行うことが可能です。

会社に安全配慮義務が課されるケースかどうか、会社に安全配慮義務違反があったかどうかの判断は、高度に法的なものであり、専門家でなければ判断が難しいものといえます。

建設現場における墜落・転落事故の被害に遭われた方で、今後の対応にお悩みの方は、是非一度ご相談下さい。

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