労災の後遺障害12級で得られる金額はいくらですか?弁護士が解説!

はじめに

労災の後遺障害12級で得られる金額はいくらですか?弁護士が解説!

労災保険で後遺障害12級が認められた場合に得られる金額やその内容について、解説します。

労災で補償される損害

労災保険で後遺障害12級が認められた場合、受け取れる金銭として、労災保険から補償を受けられるものと、会社に安全配慮義務違反がある場合に会社から賠償してもらえるものの2種類が挙げられます。

労災保険で補償されるのは、

・療養(補償)給付

・休業(補償)給付

・障害(補償)給付

・傷病(補償)年金  が主なものです。

また、会社から賠償を受けられるのは、

・入通院慰謝料

・後遺障害慰謝料

・後遺障害逸失利益 が主なものです。

すでに後遺障害の等級認定を受けている場合、一般的には、症状固定前の治療中に支給される療養補償給付や休業補償給付は支給済みと考えられますので、以下では、後遺障害の等級認定を受けた後に、労災から受けられる補償金、会社から受けられる賠償金のそれぞれについて、解説いたします。

障害(補償)給付

労災により怪我や病気の治療をしたものの、身体に一定の障害が残り、後遺障害の等級が認定された場合に支給される補償です。

後遺障害は、障害等級表によって第1級から第14級まで定められており、等級により給付の内容が異なります。
第1級から第7級については障害(補償)年金が、第8級から第14級については障害(補償)一時金が支給されます。年金は毎年支給されるものであり、一時金は、文字通り1回限りの支給となります。12級の場合、後遺障害一時金が支給されます。具体的には、

・後遺障害12級の障害補償一時金=「給付基礎日額」の156日分

・その他、障害特別支給金(一時金)20万円

が支給されます。

給付基礎日額とは、休業補償給付の計算の際にも用いられる日額計算であり、労災事故からさかのぼって直近3ヶ月の給与をもとに1日あたりの給与金額を算出した金額となります。

会社に対して請求できる12級の損害賠償金はいくら?

労災で後遺障害12級が認められている場合、労災事故の発生に会社の安全配慮義務違反が認められるのであれば、会社に対し、次のような慰謝料を請求できる可能性があります。

・入通院慰謝料

・後遺障害慰謝料

・後遺障害逸失利益の一部

入通院慰謝料の金額は?

入通院慰謝料とは、労災事故により負傷したことで受けた精神的苦痛に対する賠償金のことをいいます。

慰謝料は、労災保険から支給されないため、慰謝料を受け取りたい時は、会社に対して請求するしかありません。

入通院慰謝料の金額は、一般的に、怪我や病気の程度や入院日数、通院日数、通院期間等を考慮して算出されます。具体的には、入通院慰謝料の金額は、以下の表により算出されます。12級の場合は、100万円から200万円程度になることが多いと思われます。

※弊所にて独自作成

後遺障害慰謝料の金額は?

治療を続けたが、後遺障害が残ってしまった場合、残存した後遺障害の等級に応じて、慰謝料の賠償を受けられる可能性があります。

後遺障害12級の場合、後遺障害慰謝料の金額は、弁護士が介入して会社に請求する場合、290万円程度となります。

後遺障害逸失利益の金額は?

後遺障害により労働能力が低下したことが原因で、収入が低下するなど、就労に関して受けた不利益を後遺障害逸失利益といいます。この不利益に対する補償は、労災保険から、上述の障害補償一時金として受け取ることができますが、金額が十分でないことが多いため、足りない金額について、会社に対して後遺障害逸失利益として賠償請求し、不足分を補填できる場合があります。

後遺障害逸失利益=1年間の基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

という計算式で算出されます。

基礎収入は、労災事故の前年度の収入を基準にすることが多いです。

また、労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとにその数値が定められており、後遺障害12級の場合、労働能力喪失率は14%となります。

労働能力喪失期間は、原則として、症状固定時の年齢から67歳までの期間(年数)で算定することになります。ライプニッツ係数は、労働能力喪失期間ごとに、その値が定められています。

労災保険から支給される障害補償一時金の金額が、この計算式によって算出された金額より少ない場合、不足分を後遺障害逸失利益として会社に請求できる可能性があります。

後遺障害12級の認定を受けた場合は、弁護士にご相談を

以上のように、労災で後遺障害12級の等級認定を受けた場合、会社に対して慰謝料などの請求をし、まとまった金額の賠償を受けられる可能性があります。

ただし、会社に対する請求を行うためには、会社に安全配慮義務違反が認められることが必要であり、義務違反が認められるかどうかについては、専門的な判断が必要となります。

また、上述した慰謝料の金額は、弁護士が代理人として請求した場合にのみ支払われる可能性がある金額であり、労災の被災者ご本人が請求しても、見舞金等の名目で、ずっと低い金額の提示しか得られないのが実際です。

したがって、後遺障害12級の認定を受けた場合には、どれくらいの金額の支払いが受けられるのか、まずは弁護士に相談し、その後の対応を検討されるのが有益といえます。

当事務所でも金額の算定をさせていただいておりますので、是非、一度、ご相談ください。

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